Domaine Prieure Roch
ドメーヌ・プリューレ・ロック
フランス:ブルゴーニュ(ニュイ・サン・ジョルジュ)
テロワールを尊重した端正なワイン
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)の共同経営者アンリ・フレデリック・ロック氏が1988年から始めたドメーヌです。ロック氏はアンリ・ルロワの長女ポリーヌの次男(ラルー・ビーズ・ルロワの甥)にあたり、1992年ビーズ・ルロワがDRCの共同経営者から退いた後、長男シャルル・ロックの死去に伴いDRCの共同経営者となります。当初ドメーヌは1988年にヴォーヌ・ロマネに設立されましたが、1989年にニュイ・サン・ジョルジュの街中に醸造設備を備えたドメーヌを、プレモーに樽貯蔵庫を開設しました。
ロック氏は古文書を研究し、700年以上前にシトー派の修道士が行っていたブドウ栽培・醸造方法を復活させ、今ではビオ系ワインの代表格の一人となっています。ロック氏曰く、「これは微生物を活性化させることにより肥沃な土壌を維持し、宇宙の摂理と調和を目指した栽培方法である」と、このいにしえから伝わる農法に確かな確固たる自信を持っています。
Henry-Frederic ROCH
1962年生まれ。大学で経済学を専攻する。79年、学生時代に祖父であるアンリ・ルロワのところに遊びに行き、クロ・ゴワイヨットの畑に初めて足を踏み入れる。畑の素晴らしさに感動し、ワイン造りに携わることを決意する。88年にドメーヌ・プリューレ・ロックを設立する。92年4月からDRCの共同経営者に就任する。2018年11月 膵臓癌で亡くなられました。56歳
ラベルに描かれているロゴはエジプトにある古文書に由来しています。左側の緑色の包丁を立てたような模様はブドウの樹、下に描かれている3つの赤い丸はブドウの実、右上の黄色い楕円は神、右下の黄色い楕円は人を表していて、自然(神)と人間の両方によってワインを造り出すという彼の考えが表れています。
栽培について
Clos des Corvees
◆ドメーヌ設立当初より有機栽培を実施。土壌に含まれている微生物が土に力を与えている。
◆肥料をほとんど使っていないが、使う場合は有機肥料、つまり”生きている”肥料しか使わない(化学肥料や人工的なものは使わない)。
◆堆肥はドメーヌのブドウの若枝や搾りかすから作っている。
◆除草剤や化学的なものを一切使わない。ブドウの木を強くし、予防に徹することが大切。
◆目指している生産高は約30hl/ha。(通常は40hl)そのため厳しい剪定を行っている。
ミルランダージュとは
「結実不良」と訳され、比較的ネガティブなイメージがあるミルランダージュであるが、ヤニックは”このブドウこそがロックのワインの神髄である”と言い切る。
◆果実における果皮・種などの比率が高まる事で”より”テロワールを表現できる。またブドウだけでなく『茎が完熟』している事も収穫の条件となる。
◆フラグシップのクロ・デ・コルヴェは『ミルランダージュ100%の房』のみから造られる。平均樹齢が55〜60と高いが、5haの広さがあるのでミルランダージュのみを収穫して、年間3,600本という収量をなんとか実現している。
醸造について
◆収穫時に選果した房を、醸造時にはさらに厳格な選果(粒選り)を行う。
◆除梗・破砕はせず亜硫酸塩も添加しない。丸ごと房をそのままタンクに入れる。
◆発行中(約10日間)に、毎日2回ピジャージュを行う。発酵期間は約3週間ほど。
◆樽にて18ヶ月熟成。
◆濾過もコラージュも一切なし。ポンプを使うのも避ける。結果として、ワインに二酸化炭素が含まれており、澱が発生するが、これがドメーヌのスタイルで誇りである。亜硫酸塩(SO2)は瓶詰めの直前にしか使っておらず、使用量は微量。
『シトー派時代と同じく自然に任せたら良い』
除梗0%で房のまま丸ごと大型木製タンクに入れ、圧搾も全く行わず、100%天然酵母で自然に発酵するのを待つ。
◆発酵時にはタンク上部から二酸化炭素充填する事で酸素を遮断。必要以上の酸化を促さない工夫がある。
◆スーティラージュ(澱引き)作業はどうしてもワインを動かし、酸化の恐れがあるので@1g/本程度のSO2を使用する事もある。ただしあくまで微量に抑える。
◆瓶詰めに伴うコラージュ(清澄化)は一切行わないため、瓶詰めは”3日連続で気圧が上がった時だけに行う” ⇒気圧上昇でワイン中のオリが底部に溜まりやすいため。
熟成に使用する樽の材木は、ドメーヌ ド ラ ロマネ コンティ社が50年以上も前に伐採前の樹を買い付けてあったものを共同で使用しています。
醸造責任者
ヤニック氏(左)と当主のロック氏
ヤニック・シャン
Yannick Champ
1979年パリ生まれ。 医師を目指していたが、パリのワインショップ「オージェ」の紹介でアンリ・フレデリック・ロックとの運命的な出会いから、ワイン造りの道へ転身。2002年よりドメーヌで収穫・醸造を手伝い始め、05年に醸造責任者、10年よりロックの共同経営者に就任する。2018年に惜しまれながらこの世を去ったアンリ・フレデリックを引き継ぎ、ヤニックが現在ドメーヌを担っています。