Domaine François Feuillet
ドメーヌ・フランソワ・フュエ
ブルゴーニュ愛好家と注目醸造家が手掛けるドメーヌ
フランソワ・フュエは、オート・コート・ド・ニュイのシュヴァンヌ村に位置するワイナリーです。ドメーヌのオーナーは、キャンピングカーやテントなどアウトドア用品の製造販売を行うTRIGANO社の会長を務めるフランソワ・フュエ氏。彼はフランスの長者番付で200位以内に入るほどの大富豪であり、熱狂的なブルゴーニュワインの愛好家として知られています。ドメーヌの歴史は1991年に遡り、フランソワ氏がブルゴーニュワインを愛するあまり、ニュイ・サン・ジョルジュ村にあるオー・トレイの畑を1.2ha購入したことに由来。その際には、ブルゴーニュの神様と言われるアンリ・ジャイエ氏にアドバイスを受けたという逸話もあるほど、彼のワイン造りへの情熱、こだわりは生半可なものではありませんでした。
ドメーヌでは現在モレ・サン・ドニ村の区画の他、シャンベルタンやエシェゾーなどの特級畑も所有しており、幅広いラインナップを手掛けています。数ある特級畑でもフランソワ・フュエで特筆すべきはブルゴーニュの幻的存在であるドメーヌ・トルショ―・マルタンから購入した区画です。その中でも、クロ・ド・ラ・ロッシュやシャルム・シャンベルタンなどの区画の一部には引き継いだ当時の樹々がまだ植えられており、1920年に植樹されたものが残っていると言われています。まさに夢のような区画を引き継いだと言えるでしょう。ブドウの栽培にはビオロジック(有機農法)を採用し、除草剤を含め化学薬品は一切使用しておらず、畑は農耕馬によって耕されています。加えて、栽培チームは冬の時期にすべての区画の状態を見極めて、それぞれに合った剪定方法に変えるなど、ブドウを最も良い状態で収穫できるように常に努力を重ねているのです。近年では、畑の健全性を保つために、数年間土壌を研究した結果からブドウ以外の植物、木々を一緒に育てる取り組みを行っています。
醸造家には、ダヴィド・デュヴァン氏に全面的に依頼。有機的栽培への転換や低温浸漬の排除、全房発酵の導入などを取り入れ、その器量を遺憾なく発揮。
ブルゴーニュ最先端ともいえる透明感溢れるスタイルに根強いファンが多い、フランソワ・フュエ。手掛ける全てのアペラシオンにおいてヴィンテージに左右されない安定した高い品質を誇り、フランスのワイン雑誌『ラ・ルヴュ・ド・ヴァン・ド・フランス』でDRC、ルロワ、ジョルジュ・ルーミエなどブルゴーニュのスーパースターたちとともに、最高評価である3つ星を獲得しています。
醸造では、ブドウ本来の自然な状態で発酵・熟成させることを理想としています。かつてドメーヌではブドウを粒単位で摘み取る高度な収穫法「ペディセル」を行っていましたが、手摘みで房ごと収穫する手法に切り替えて、全房発酵を導入。低温浸漬を行わずに発酵槽へ入れられ、人間の足で軽く踏む伝統的な手法で破砕された後、15~17日間発酵されます。
全房発酵の際は、ヴィンテージの違いを明確に表現するため、村名は約60%、一級畑は約65%、特級畑は80~85%と全房発酵の比率が毎年同じになるよう統一。発酵後はキュヴェによって30%~40%の新樽で、10ヵ月~14ヵ月間熟成された後、ノンフィルター、ノンコラージュで瓶詰めされます。
これらの醸造を経て出来上がるのは、複雑な風味や丸みを帯びたタンニンが溶け込んだ、旨味溢れるワイン。豊かなアロマと複雑味、そしてフィネスと繊細さを兼ね備えるフランソワ・フュエのワインは、若くても熟成していても、いつ飲んでも飲みやすいワインとされ、フランス国内数々の有名レストランで採用されています。
それを裏付けるかのように、2015年にフランスのワイン雑誌『ラ・ルヴュ・ド・ヴァン・ド・フランス』において、「コート・ド・ニュイの素晴らしいグラン・クリュ」としてシャンベルタンを含むグラン・クリュ5銘柄が選出。輝かしい活躍を見せる今、まさに目が離せないブルゴーニュの生産者として注目されています。