Chateau Cheval Blanc

シャトー・シュヴァル・ブラン

フランス:ボルドー サンテミリオン地区 Saint-Emilion Premiers Grand Cru Classe A
 

 

 

白馬という名のボルドーで最も深遠なワインと評され、多くのファンを持つシャトー

 豊かなコクときめ細やかさをそなえ、驚くほどに長寿。シャトー・オーゾンヌと並び、サン・テミリオンを代表するワインです。ポムロール地区との境界線に位置するこのシャトーは、その土壌がグラーヴと呼ばれる砂礫層で、カベルネ・フラン種に適した地質のため、ボルドーの名シャトーの中でも珍しい存在です。
 

 
 サン・テミリオンの地域は土壌の異なる2つの地域で大きく2つに分類されており、ひとつはコート(台地の意)地域と呼ばれ、メルロの栽培に適した粘土石灰質の土壌。シャトー・オーゾンヌを含む第1特別級のほとんどのシャトーがこちらに属します。もう一つはグラーヴ(砂利の意)地域と呼ばれ、カベルネ・フランがよく栽培されている砂利質の土壌。シュヴァル・ブランは、粘土と砂利質の両方を均等に含んだ土壌に属します。

 カベルネ・フランを多く使用したことによって現れる、コクと力強い味わいがこのシャトーの真骨頂。さらにポムロルのレヴァンジルやコンセイヤントと溝一つの距離のため、ポムロルに近い、リッチでねっとりとした酒質。こうした個性がシュヴァル・ブランにしか出せない独特な味わいを生み出します。多くのワイン愛好家がシュヴァル・ブランをNO.1に選ぶのもこの辺りが関係しているのかもしれません。そして飲み頃の期間が最も長いとも言えるワイン。通常、シュヴァル・ブランは瓶詰めされた時点で既に美味しいのですが、年を追うごとに更に調和がとれ風格を増します。五大シャトーやポムロルの宝石「ペトリュス」にも、これほどの柔軟性はありません。
 
1830年代に当時レヴァンジルの所有者であったデュカス氏がフィジャックの一部を購入。それにレヴァンジルの一部も含めて設立したシャトー。1998年にベルナール・アルノー(2009年に持ち分をLVMH売却)とアルベール・フレールが協同購入し、現在はLVMHの所有となっています。
Rouge
2019
シャトー・シュヴァル・ブラン
¥131,000 品切中
2013
シャトー・シュヴァル・ブラン
¥76,400 品切中
2011
シャトー・シュヴァル・ブラン
¥79,650 品切中
2010
シャトー・シュヴァル・ブラン
¥99,650 品切中
Rouge
2011
ル・プティ・シュヴァル
¥27,500 品切中
2008
ル・プティ・シュヴァル
¥30,250 品切中
2005
ル・プティ・シュヴァル
¥37,250 品切中
Blanc
2020
ル・プティ・シュヴァル・ブラン
¥27,300
2019
ル・プティ・シュヴァル・ブラン
¥28,900
2018
ル・プティ・シュヴァル・ブラン
¥33,000

ロバート・パーカーJr.ボルドー第4版より
 シュヴァル・ブランは間違いなく、ボルドーで最も深遠なワインの1つである。ここ50年ほどの年月のほとんどの間、サン=テミリオンの格付けの単独トップの地位を占め、このアペラシオン最高のワインを生み出してきた。ただ、オーゾンヌの復興が始まり、さらにサン=テミリオンのガレージ・ワインのつくり手による品質の革命が起こってからは、世の注目を分け合わなければならなくなった。それでもシュヴァル・ブランは、非常に突出したワインである。ポムロールと境を接するサン=テミリオンの砂利地(グラーブ)の一画に位置し、その畑は、レヴァンジルやラ・コンセイヤントとは溝1つ分の距離でしかない。そのため長年、ここのワインはサン=テミリオンよりもポムロールに近いと批判されてきた。

 ボルドーの「八大ワイン」の中で、シュヴァル・ブランはおそらく飲み頃の期間が最も長いワインであろう。通常、このワインは最初に瓶詰めされた時点でおいしいのだが、最高のヴィンテージの場合、年を追うごとに重みを増し、持ちこたえるだけの能力を備えている。メドックの一級シャトーや、ポムロールのペトリュスにも、これほどの柔軟性はない。オー=ブリオンだけが、早い段階で飲むことができ、早熟でありながら、20年から30年熟成するだけの充実感と総合的なバランスや強烈さを持つという点で、シュヴァル・ブランに近いワインだと言える。私にとっては、シュヴァル・ブランはシュヴァル・ブランなのであって、私が試飲したことのあるポムロールとも、ほかのいかなるサン=テミリオンとも違う。カベルネ・フランとメルロを同じぐらいずつ使うというシュヴァル・ブランの特徴あるブドウの選択は、極めて異例である。メジャーなシャトーで、これだけカベルネ・フランを使うところはほかにない。しかし、面白いことに、このブドウはシュヴァル・ブランの、鉄鉱石を岩床とした砂利の多い、砂礫質及び粘土質の土壌でその頂点に達し、極めてリッチな、完熟感のある、強烈で、ねっとりとしたワインを生み出すのである。

 シュヴァル・ブランのワインのスタイルが、その絶大なる人気に貢献しているのは疑いの余地がない。暗いルビー色で、優良なヴィンテージならば、豪勢なまでの芳醇さと果実味のあるワインで、フルボディで、官能的で、みずみずしく、若いうちから誤解を招くほどに飲みやすい。そのブーケはとりわけ特徴的である。最高のシュヴァル・ブランは、シャトー・マルゴーなどのメドックの一級シャトーのワインよりも香りが華やかだ。ミネラル、メンソール、エキゾチックなスパイス、タバコ、そして強烈で超熟した黒系果実の香りは、味わう者を圧倒する。テイスティングした人の多くが、この巧妙な早熟さの魅力に惑わされて、このワインは長期熟成しないと誤った推測をしてしまう。大柄で豊かなヴィンテージにおいては、シュヴァル・ブランの熟成ぶりはとりわけすばらしいのだが、真に堂々たる風格が現れ始めるずっと前に、大半が飲み尽くされてしまうのではないか、という懸念がある。

 テイスティング・ノートが示すように、シュヴァル・ブランは、信じがたいほどの深みと芳醇さを持つ、退廃的なまでにエキゾチックなワインを生産することができる。しかし、ヴィンテージによっては、ボルドーの八大ワインの中で最もがっかりさせられるものでもあった。1960年代と1970年代にはシュヴァル・ブランは目覚しい成果をあげていない。しかし、前の管理者ジャック・エブラールが、品質と細部にいっそうの注意を傾けた結果、1980年代のワインの品質はより一貫したものとなった。彼の後を継いだピエール・リュルトンがシュヴァル・ブランの品質と一貫性をより向上させた。2000年、1999年、1998年の連続したヴィンテージは、1949年、1948年、1947年のすばらしい三部作以来、最上のシュヴァル・ブランである。
 シュヴァル・ブランは、オー=ブリオンとともに、ボルドーの八大ワインの中では最も価格の低いワインにとどまっている。
 
~一般的な評価~
 ベルナール・アルノーとアルベール・フレールは買収して以来、シュヴァル・ブラン独特のテロワールを最大限に引き出そうと、努力を惜しまなかった。その結果、シュヴァル・ブランは今まで以上に、ボルドーで最もエキゾチックで個性的なワインとなった。壮厳な落ち着きを感じさせるワインで、派手なところ、極端なところは微塵もない。それどころか、このワインを構成している要素(果実味、ふくよかさ、絹のような舌触り、ビロードのようなタンニン、とどまるところを知らないフィニッシュ、まばゆいばかりのアロマ)のすべてが、非の打ちどころのないつりあいを示している。若いうちから飲むこともできるが、カベルネ・フランのブレンド比率が非常に高いため、樽よりも瓶で寝かせたほうがおいしくなるようである。
 
平均年間生産量:10万本
畑 面積:37ha、平均樹齢:45年、植樹密度:8000本/ha、平均収量:35hl/ha
育て方:発酵とマセレーションは温度管理されたステンレスとコンクリートの槽で21~28日間。マロラクティック後の熟成はオークの新樽で18ヶ月。澱引きは3ヶ月ごと。卵白で清澄するが、濾過はしない。
ブドウ品種:カベルネ・フラン58%、メルロー42%
所有者:ベルナール・アルノー&アルベール・フレール