Jermann
イエルマン
イタリア:フリウリ
白ワインの銘醸地、フリウリのカンティーナ
イエルマンのカンティーナは、フリウーリ=ヴェネツィア・ジュリアはスロヴェキアと国境を接する東北部の地域です。コッリオのゴリツィアの近郊のヴィラノーヴァという村にあります。イタリアにおいて現在最も高い評価を受け、深い尊敬を一身に集めている白ワインの造り手。
現当主のシルヴィオ氏は、イエルマンのワインを一躍世界レベルまで押し上げただけではなく、「イタリア随一の白ワインの銘醸地」としてのフリウリの名声を世界に知らしめた生産者です。近年においても、2016年にガンベロ・ロッソが選ぶ、イタリア白ワインの造り手を代表する人物として選出され、2020年には著名なイタリアのワイン誌であるチビルタ・デル・ベーレにて「シルヴィオ・イエルマン氏はフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州の最も代表的な生産者の一人である。」と評されるなど、フリウリの名手として確固たる地位を築き上げています。
イエルマンがワイナリーを構えるフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州は、北をオーストリア、東はスロヴェニアと国境を接する地。アドリア海の温暖な地中海性気候とアルプス山脈からの冷気がほどよく混ざり合い、ミネラルに富んだ土壌がワインに味わい深さを与えるとされ、イタリア随一の白ワインの銘醸地として知られています。
フリウリのワインを語る上で欠かせないのが、産地特有のポンカ土壌。特にイエルマンの畑があるコッリオ地区では粘土や、それよりも荒いシルト、手で触るともろく砕けてしまうほど柔らかな土壌などが幾層にも重なる、沖積土壌が有名です。これはポンカ土壌と呼ばれ、水はけが非常に良いことが特徴。また、鉄分や石灰を多く含んでいるためにワインに独特なミネラル感や厚みを与えます。
イエルマンを代表するワインは、ガンベロ・ロッソや伊ソムリエ協会が主催するオスカー・デル・ヴィーノにて「イタリアの白ワイン年間No.1」に選ばれた実績を持つヴィンテージ・トゥニーナや、国際品種を使用し、バリック熟成という革新的な方法で造られた、彼らの記念碑的作品であるワー・ドリームスなどがあります。特にワー・ドリームスは、国際品種であるシャルドネを主体にワインを造ることが挑戦的な試みだった中、ブルゴーニュ最高峰の白ワインであるモンラッシェをイメージし、それを体現することに見事に成功。イエルマンの名を一躍世界の舞台へ押し上げたワインです。
一方で、そんなワー・ドリームスに代表されるようにモダンなイメージが先行するイエルマンですが、ひとつひとつのワイン造りからは伝統的な手法と土着品種にも重きを置いて行われていることがよく分かります。特に彼らのワイン造りを象徴するのが、フィールドブレンド。ブドウを収穫しプレスする段階からすでに全てのブドウ品種が混ざった状態にしているため、発酵や熟成のタイミングで各品種の持つ特性がしっかりと混ざり合い、独特な風味やアロマが生み出されるのです。
そんなフリウリで特に近年、この土地ならではの品種として注目を浴びているのが、土着品種のリボッラ・ジャッラ。自然派ワインの流行やイタリア各地で土着品種の見直しが進んでいることで話題となっているブドウ品種です。また、地元の人々に根強く慕われているフリウラーノや、国際品種のピノ・グリージョやシャルドネ、ソーヴィニヨンなども、土地の気候やミネラルが豊富な土壌に適合。エレガントながらも骨格のしっかりとした白ワインが誕生しています。