Marcel Deiss
マルセル・ダイズ
フランス:アルザス
1744年から続くダイス家は、フランス・アルザス地方コルマール市の7km北方、ベルクハイム村に位置しています。1945年に故マルセル・ダイス氏がワイナリーを設立。その後息子のアンドレ・ダイス氏を経て、3代目である現当主ジャン・ミシェル・ダイス氏に継承。創業当時約12haだった所有面積は、現在、9つの村に220区画、合計26haの斜面畑を所有するほどに拡大しています。
ワイン造りの基本哲学は、ブドウ品種、ヴィンテージ、テロワールという3要素それぞれの特徴や個性を、バランスよくワインに表わすこと。 その為に重要視している代表的な手法の一つが「混植」です。1本のリースリング種の隣にピノ・グリの樹が、その隣にミュスカの樹が、という栽培方法。通常、品種によって成熟のスピードや収穫の時期も異なりますが、ダイスの混植では全ての品種が同じスピードで成熟し、完熟を迎え、同時期に収穫。このことにより、土地ごとの特性が最大限に表現されたワインが造られます。また、 1997年からはビオディナミを採用。土壌が活性化する為、土地の特徴がよく出た、元気で健康的なブドウが実ります。
「何かを良くしようと思ったら、それは愛によってのみ可能だ」。現代アルザスワインの頂点を極めるジャン・ミッシェル・ダイス。アルザスに初めて「テロワール」の概念を持ち込んで大論争を巻き起こし、遂にはAOC法の改正(ラベルに品種名を表記しなくてもよくなったこと等々)を成し遂げた、信念の男。現在も彼が昔から提唱する、畑の個性に基づく「プルミエクリュ」を実現させるべく運動を続けています。
「ぶどうの樹は、自ら養分を求めて根を土中に伸ばします。この土中深くにあるものがその土地のテロワールです。ここは気候の影響もほとんど受けません。根が地表に留まると気候の影響をモロに受け、土地の個性は失われてしまいます。僕のワインは、例えば酷暑だった2003年も、濃さは例年と変わりませんでした。ビオディナミも、このテロワールを引き出すための手段に過ぎません。」
「また今日、アルザスのほとんどの畑で同じクローンばかりが植えられるようになりました。その結果、どのワインを飲んでもクローンの個性の味しかしなくなりました。アルザスの土壌は、太古の地殻変動に由来する極めて複雑で多様なものです。個々の土地の強烈な個性をそのままワインに表現することが、僕の人生です」。