ルネ・ミューレと彼の子供であるヴェロニクとトーマスは1648年から現在11代目と12代目となるアルザス、ローファの生産者です。1935年にルネの祖父であるアルフレッド・ミューレが0.35エーカーのクロ・サン・ランドランの畑を家族で単独所有しました。ドメーヌの他にルネ・ミューレはローファ地区のワインメーカーとの提携を確立し、ネゴシアンとしてのワインもリリースしています。
●ルネ・ミューレの葡萄について
葡萄が最も優れたテロワールを表現するのは地中の最も深いところであるとの考えから 1haあたり10,000本という高い植密度で葡萄を植えたり、除草剤の使用をやめて有機栽培を行うなどブドウ樹の根を地中に誘導し、生きた土壌を造るため畑仕事に主眼を置いています。仕立てはギヨー・サンプルもしくはドゥーブル。収穫は手摘みで行い、収穫量は低く25~45hl/ha程度と非常に低く(アルザスの特級の最大収穫量は70hlまで許可されています)、20kgの小さな箱で醸造所まで運ばれます。
●ワイン造り
発酵は低温でゆっくりと行います。天然酵母によりゆっくりとやさしくワインは醸されます。
発酵後は澱と長期間、接触させる(シュール・リー)ことによりテロワールに由来するきわだつアロマを生み出します。出来る限りの最高の品質を保つために、熟成後にごく軽くフィルター濾過を行います。
『私たちは1ヘクタールあたり約10,000本という植密度で葡萄を植えています。確かに、現在のアルザスでは1ヘクタールあたり4,000本程度の植密度が一般的です。しかし、150年前のアルザスではどの畑も私たちのような植密度の高さだったのです。植密度が下がった一番の大きな理由は大戦後のことだと思います。株を均等に植えてコントロールするキャノピーマネージメントの浸透、それによりトラクターでの土壌の耕作が主流となりました。トラクターを畑に入れるには植密度を下げなくてはなりません。現在、私たちのクロ・サン・ランドランの畑は畝と畝の幅が約1.3メートル。そして80センチ間隔で葡萄樹が植えられています。植密度があがれば表土では葡萄樹同士の生存競争が起こり、葡萄は深く深く根を下ろします。
クロ・サン・ランドランの畑は日照が強く、非常に石灰質が強い土壌です。葡萄が根を深く張ることによって、地上での日照が強くても水分不足になることはなく、葡萄が健全に成熟してくれるのです。真の意味でのテロワールを表現することが出来るのです。私たちはこの10年間、ビオディナミ栽培を選択しています。これも健全な土壌を造り、葡萄樹の根を地中深く下ろすためです。そして収穫量を低く抑えることで葡萄は健全に成熟し、テロワールの個性を反映してくれるのです。』
2010年3月 Thomas Mure談