Chateau Haut Bailly

シャトー・オー・バイィ

フランス:ボルドー ペサック・レオニャン地区 ※赤:Crus Classe des Graves

ぺサック・レオニャンの中でも特にエレガントと評されるシャトー

シャトー・オー・バイィは、周辺で最も高い丘の頂にあり、日当たりがよく水はけも優れているという、この上ない立地に位置します。特筆すべきは全体の15%のブドウ樹が約樹齢100年という古樹であることで、古樹特有の凝縮感と複雑味がワインにもたらされることが特徴です。絹のように滑らかな優しいテクスチャーで、ブドウ本来の旨味に満ちた滋味深いエレガントな味わいが特徴です。
 

2013
シャトー・オー・バイィ
¥10,800
2007
シャトー・オー・バイィ
¥10,800
 

 
グラーブ地区のペサック・レオニャン村にあるシャトー・オー・バイィは、1955年以来サンドル家が所有しており、1982年以降急激に評価を高めています。1998年にハーバード大卒の銀行家ロバート・G・ウィルメール氏が所有者となり、セラーを刷新し、オー・バイィの精度を更に向上。近年は、以前まで積極的に評価してこなかったパーカー氏も、「最高のヴィンテージにおいては格別にエレガントである。」と高く評価しています。
 
さらに2009年がワイン・アドヴォケイトでシャトー史上初の100点を獲得し、グラーヴの格付けにおいても、わずか16シャトーしかない偉大な格付けシャトーのひとつとなっているのです。現在はカリフォルニア大学のサンタ・クルーズ校でエコロジーを研究してきた息子クリス氏と総支配人のヴェロニク・サンデルス氏がシャトーを引き継いでいます。
 
シャトーは周辺で最も高い丘の頂にあり、日当たりがよく水はけも優れているという、この上ない立地。特筆すべきは、全体の15%のブドウ樹が約樹齢100年という古樹であること。さらにそれらはフィロキセラの害を免れた、アメリカ産の台木に接木していない純粋なフランス産の木だというのだから驚きです。またブドウ栽培において、剪定のマスターと呼ばれるイタリア人のマッシモ・ギウダッチ氏をコンサルタントとして招聘し、グイヨ・プサールという古い剪定法を採用し、樹液の循環を高めています。
 
醸造においても、最新の技術を取り入れており、「ALIEN」と呼ばれる選果機のプロトタイプを導入。こちらは、「オートマティック・ライン・インターセプト・エレメンツ・ネガティブ」の略で、台上のブドウを撮影し、未熟な粒を吸い上げるシステムです。徹底した選果を行うことで最終的なワインの品質を高めています。熟成には新樽を50%程度用い、また瓶詰めの際に濾過処理を全く行いません。
 

 

ロバート・パーカーJr.ボルドー第4版より
 
 グラーヴの基準から言えば、オー・バイイは比較的新しいシャトーである。しかし、その歴史は興味深いものだ。1872年の時点でオー・バイイの2代目の所有者であったベロ・デ・ミニエールは、ワインの品質が改善されたのは、たっぷりのコニャックが加えられたためだと信じていたようだ。樽をすすぐ際に使われたこの蒸留酒が、樽の中に残っていたのである。現在、ブルゴーニュ・ワインのつくり手が、弱いヴィンテージを強化するためにオー・ド ・ヴィーがブランデーを用いるという噂を耳にすることがあるが、ベロ・デ・ミニエール氏は自分のワインの「特別な」成分を誇りとしていたのであった。
サンデルス一族が所有者となったのは1955年のことである。彼らによれば、ダニエル・サンデルス(ベルギー出身のワイン愛好家)が1945年のオー・バイイの出来栄えの良さに驚き、調査して、このシャトーを購入することに決めたのだという。彼の息子のジャンは、この近くのシャトー・クールボン(心地よい辛口の白のグラーヴをつくっている)に在住しているが、彼の父の死後、このシャトーを管理してきた。そして1998年7月に、ロベール・G・ヴィルメールに売却された。
 1960年代初めから、オー・バイイの品質にはムラがあった。1961年には並外れて素晴らしく、1964年も美味しいワインであるが、こうした優れた品質が、長い凡庸期をへて回復し始めたのは1979年以降のことであった。収穫された葡萄の30%までをセカンド・ワインに回したこと、新樽の使用比率を上げたこと、より熟したブドウを得るためにあえて収穫を遅くしたことなどがすべて、1980年代になって、より優れたオー・バイイを生み出すという成果にに結びついた。
 オー・バイイは、若いうちは評価するのがなかなか難しいワインである。なぜかはわからないが、幾分痩せていて軽いものの、瓶詰めした後は重みを増すようなのだ。私はこと点をジャン・サンデルスに尋ねてみたのだが、彼は、特に瓶詰めするまえに、評論家たちに印象づけるようなワインをつくることにはまったく興味がない、と答えた。彼はブドウの樹齢が極めて高く、また濾過処理をまったく行わない伝統的なワインづくりのスタイルであるため、出来上がったワインは、すべての魅力と特徴を表すまでに時間を要するのだろう、と考えている。オー・バイイは、近隣のシャトーであるド・フューザルほどの大きさや力強さは持ち得ないだろうが、最高のヴィンテージにおいては格別にエレガントである。
 
~一般的な評価~
 オー・バイイは1990年代に困難な時期を経験したが、今は復活している。畑のテロワールが素晴らしく、ぺサック・レオニャンで最も軽く、最もエレガントなワインを生み出している。私の経験では、悪く言えば、若いうちは軽くて無味乾燥な味わいだが、5〜7年もたつと、カベルネ・ソーヴィニョンの比率が高いため、しばしば相当に良いワインになっている。品質面では、オー・バイイのワインはメドックの三級シャトーのものに匹敵する。
 
平均年間生産量:8〜10万本
畑 面積:32ha、平均樹齢:35年、植樹密度:35本/ha、平均収量:40〜45hl/ha
育て方:発酵とマセレーションは温度管理された槽で3週間。熟成は新樽50〜60%で15ヶ月。清澄はするが濾過はしない。
ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニョン65%、メルロー25%、カベルネ・フラン10%
所有者:ロベール・G・ヴィルメース