Chateau d'Armailhac
シャトー・ダルマイヤック
シャトー・ムートンが所有する“小さなバッカス(酒の神様)”
1989年から、現在の名称「シャトー・ダルマイヤック」と名付けられたワインで、ラベルに描かれている絵は、シャトー・ムートン・ロートシルトのワイン美術館に展示されている18世紀の“小さなバッカス(酒の神様)”の複製です。
18世紀にはダルマイヤック家の所有でしたが、その後何度か所有者が変わり、1933年よりバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドが所有しています。その後、シャトー名は4回も変更。最初のダルマイヤックから、ムートン・ダルマイヤック、ムートン・バロン・フィリップ、ムートン・バロンヌ・フィリップと変わり、1989年からこのダルマイヤックに落ち着いています。シャトー・ムートン・ロスチャイルドを長男とするなら、シャトー・ダルマイヤックは三男と称されています。
畑はポイヤック村の内陸側に位置し、シャトー・ムートン・ロスチャイルドとシャトー・ポンテ・カネという、ボルドーワインの最高峰ともいえる2つのシャトーに囲まれた素晴らしい立地です。なだらかな丘陸の日当たりが良い、申し分ないテロワール。所有する約70haの畑は粘土石灰岩をベースとした非常に深い砂利土壌で、平均樹齢46年のカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドを植樹しています。
収穫後は手作業にて選果。除梗・破砕を経てブドウはグラヴィティシステムでステンレスタンクに運ばれ、25℃を保ちながら15~20日間発酵。そして新樽比率約35%で約18ヵ月間熟成を行います。卵白による清澄と濾過を実施し、その後瓶詰。このように、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド家の優れた醸造技術によって造られるワインは、クラシカルな味わいでありつつ、飲み口の柔らかい親しみやすいスタイルです。
ロバート・パーカーJr.ボルドー第4版より
ダルマイヤックは、故フィリップ・ロートシルト男爵がポイヤックに所有していた3つのシャトーのうちではいまだに最も知名度が低く、一般消費者にとっては最もわかりづらいシャトーである。男爵がこのシャトーを手に入れた1933年当時はムートン・ダルマイヤックと呼ばれていたが、1956年にムートン=バロン=フィリップと改称された、1975年にはこの翌年に他界した男爵夫人のためにムートン=バロンヌ=フィリップと改められた。1989年のヴィンテージからは再びダルマイヤックという名称に戻っている。
畑の樹齢は印象的だが、ワインのほうはたいがい比較的軽く、すぐに飲み頃になるし、複雑さや個性、寿命の点では2つの兄弟分にあっさり引き離されてしまう。もっとも、ワインの品質を向上させようとする風潮は昔から目についていた。1982年の品質は間違いなくヴィンテージ自体によるものだろう。本当に品質が向上し始めたのは上質な1985年からだが、それ以降、向上は続いているし、1990年代半ば以降は現実的な価格のついた秀逸なワインをたて続けに生産している。
~一般的な評価~
このシャトは近年大幅によくなり、昔より良好な凝縮感や濃厚さが見られるようになった。1989年までは一般的に健全だが興奮させられるようなものではなかったのだが、1995年以降では一貫して優良から秀逸となっているのだ。安定した仲間であるムートン・ロートシルトとクレール・ミロンの陰になっているおかげでいまだにリーズナブルな価格で手に入れることができる。抜け目のない消費者ならば、特に良好なヴィンテージのものは探し求めたいところだが、ご注意あれ。手遅れになるくらいなら早めに飲むことだ。四級に格上げできるシャトーである。
平均年間生産量:22万本
畑 面積:50ha、平均樹齢:47年、密植度:8500本、平均収量:45hl/ha
育て方:発酵は25℃に温度管理されたステンレス槽で15~20日間。熟成は新樽約35%で15~16ヶ月。清澄と濾過については詳細不明。
葡萄品種:カベルネ・ソーヴィニョン56%、メルロー22%、カベルネ・フラン20%、プティ・ヴェルド2%