Château Climens

シャトー・クリマン

フランス:ボルドー ソーテルヌ地区特別第一級

バルサックの領主と称えられ名声を誇るワイン

 
31haの畑をバルザックに所有し、セミヨンのみを栽培。1547年までその歴史を遡ることが出来る由緒あるシャトーで、1971年にリュルトン家が購入。1992年からは現オーナーのベレニス リュルトンが指揮をとっています。満足のいくブドウが得られなかった年にはグランヴァンを生産しないなど、品質には強いこだわりを持っており、2010年からばビオディナミ農法も取り入れています。
 

 
 
2006
シャトー・クリマン
¥13,200
 
 
 
2019
シャトー・クリマン・アスフォデル
¥5,600
 
 
 

 

 

ロバート・パーカーJr.ボルドー第4版より
 バルサック/ソーテルヌ地方で最も有名なシャトーが、フランスで最も凝縮感があり高価な甘口白ワインを造るシャトー・ディケムであることは疑う余地がない。しかし、料理に最もよく合い、最も複雑で、飲まずにいられないワインは、バルサックのシャトー・クリマンであると、私は思う。
 1971年年以来クリマンを所有してきたリュルトン家は、ボルドーに多数のシャトーを所有し一大帝国を築いた。ブラーヌ・カントナックやデュルフォール・ヴィヴァン、デミライユなどのマルゴーの有名シャトーもそのうちに入る。
 こうしたシャトーはいずれも良好なワインを生産しているが、それぞれのコミューンにおける格付けは、クリマンがバルサックで得ているものとは比べものにならない。
 過去2世紀のほとんど、クリマンはバルサックのコミューンにおける2つのリーダー的存在の1つと考えられてきた。31ha の葡萄畑と質素な1階建てのシャトーの建物(唯一の特徴は、両側にスレートの屋根の塔が1つあるだけ)は、小さなラ・ピネッセ村のすぐ北の、ゆうに海抜21mはある、バルサックで一番高い丘にある。多くの評論家によれば、この標高の高さが畑の優れた水はけに一役買い、雨季には標高の低いシャトーより断然有利になるとのことだ。
 この地のシャトー名のほとんどが以前の所有者に由来するが、クリマンにどうしてこの名前が付いたのか、はっきりとは分かっていない。19世紀の大半はラコスト家が所有し、シャトー・クリマン・ラコストと称するワインをつくっていた。  
 その当時、28haの畑で年間6,000ケースが生産されていたが、19世紀末のフィロキセラによる壊滅的な害でボルドーの葡萄畑のほとんどがやられ、クリマンもその例外ではなかった。1871年にクリマンはアルフレッド・リベに売却された。彼はペグゾトというシャトーの所有者でもあったが、こちらの方は今日シャトー・シガラ・ラボーとして知られるシャトーに吸収された。
 1885年にリベはこのシャトーをアンリ・グヌイユーに売却した。以来、1971年に現在の所有者である精力的なルシアン・リュルトンがここを買い取るまで、グヌイユーの一族がクリマンの経営に当たっていた。だが、クリマンの品質だけでなく、この偉大なシャトーに対する一般の認識をも高めたのは、ボルドーで最も有名な日刊紙『シュド・ウエスト Sud-Ouest』の取締役でもあったアンリ・グヌイユーとその後継者たちである。1929年、1937年、1947年の伝説的なヴィンテージによって、クリマンは隣の大きなシャトー・クーテを凌ぐどころか、あの偉大なシャトー・ディケムと肩を並べることさえできたのである。
 ブリジットとベレニスの2人のリュルトンは、この傑出したシャトーの並外れた評判を少し高めたにすぎない。彼らが変えたのは、砂利と赤砂、粘土のような土壌の葡萄畑に植えられた少量のミュスカデルを取り除くことだけだった。現在の栽培は100%セミヨンだが、これによってシャトー・クリマンのテロワールから最良のワインが生まれると彼らは信じている。リュルトン家がソーヴィニョン・ブランを避けたのは、ソーヴィニョン・ブランは数年後にアロマを失いやすいからだ。リュルトン家は、毎年わずか3%から4%の畑を植え替えるだけなので、葡萄の平均樹齢は35年という印象的な数字を保っている。さらに、1haにつき16hlと言う収量はバルサック及びソーテルヌ地方のシャトーでは最も少ない。(今日では、ワインを生産する大手のシャトーのほとんどが収量を倍増させているが、感心なことにクリマンは、19世紀半ばの頃よりも0.7ha広くなっただけの畑から、平均して年間たったの3,333ケースという生産量を保っている)。この統計だけ見ても、ここで生産されたワインの凝縮味と品質が格別である理由が判る。
 ここのワインは樽で発酵され、55ガロン(約208L)の樽で12ケ月から18ケ月間熟成されてから瓶詰めされる。大半のヴィンテージには新樽が33%使われる。これによって、蜂蜜をかけたパイナップルとアプリコット風味の果実味と、ヴァニラのような、トーストしたような新樽の香りがさらによく結びつき熟成すると信じられている。
 クリマンがなぜこれほど貴重かと言うと、この地方で最も心動かされる、エレガントなワインをつくっているからだ。純粋な力強さ、ねっとり感、豪華さの点でクリマンはシャトー・ディケムはもちろん、シャトー・リューセック、シャトー・シュデュイロー、それにシャトー・クーテの贅沢で希少な「キュヴェ・マダム」にもかなわないのは確かである。しかし、別格のバランスとフィネスを物差しにワインの偉大さを測るなら、クリマンは他に例のない、この地方で最も上品さを極めたワインというに値する。多くのソーテルヌが、一歩間違えればうんざりするほど甘いワインになってしまう中で、最高のヴィンテージのクリマンは、蜂蜜をかけたパイナップルの果実味の、リッチで甘美でエキゾチックな個性と、レモンのような酸の際立った中核が融合している様だ。それがこのワインにすっきりとした風味や明確な味わい、そして深遠な、忘れられないほどに楽しめるブーケをもたらしている。
 このワインはバルサック及びソーテルヌ地方で、一貫して最も深遠なワインであり、100%セミヨンから造られている。力強い競走馬のようなスタイルのワインに、いかに多くのエレガントさを組み込むことができるかという、心奪われるような実例の1つである。
 
~一般的な評価~
 フランスの記念碑的な甘口ワインの1つである。クリマンは、私の個人的なお気に入りだ。偉大な高貴さと、レーザー光線のような風味の明確さが融合している。ワイン醸造の金字塔である。
 
平均年間生産量:3万本
畑 面積:31.0ha、ブドウ品種:セミヨン100%、平均樹齢:35年、密植度:6300本、平均産出量:13hl/ha
育て方:発酵と18〜24ヶ月間の熟成は新樽30〜50%で行う。清澄はしないが、濾過は行う。
所有者:ペレニス・リュルトン