ピノ・ノワールで注目を浴びる、バーデンの4つ星生産者
世界でも上位に入る栽培面積を誇るピノ・ノワール(シュペートブルグンダー)の生産国ドイツの中でも、高品質なシュペートブルグンダーが生み出されているのがバーデン。そのバーデンの中でも近年注目を集めているワイナリーがクランプです。

1983年、ウルリッヒ・クランプ氏とマリエッタ・クランプ氏夫妻がガレージワイナリーとして創業し、現在は、長男のマルクス氏が醸造責任者、2010年には次男のアンドレアス氏が栽培責任者としてワイナリーを運営しています。
オーガニックなワインメイキングを通じて高品質なワインを生み出す彼らは、2014年、ドイツのワインガイド『アイヒェルマン』にて、アウフシュタイガー・デス・ヤーレス(ライジング・スター・オブ・ザ・イヤー)を受賞しました。2020年には、『アイヒェルマン』の4つ星生産者に選出されるだけでなく、ゴ・エ・ミヨのドイツワインガイドにてフィーア・トラウベン(ブドウ4房)評価も獲得。


クランプでは、「ワインはその土地のアンバサダー」という考えに基づき、個性的なクライヒガウの環境を表現するためにはオーガニック農法が最善と考え、1992年からオーガニック栽培を実践しています。1996年にはすべての畑をオーガニック栽培に切り替え、現在ではエコヴィンのオーガニック認証と、ユーロリーフのオーガニック認証を取得。このようなオーガニック栽培を中心とした取り組みが評価され、2002年には地区環境賞を受賞しています。
それだけでなく、月の満ち欠けに合わせて作業を行い、自然由来の堆肥や肥料のみを使用するというビオディナミ農法も採用。スギナやイラクサを抽出した自家製の「お茶」を畑に撒き、ブドウ樹の自己免疫力を強化するなど、ユニークな取り組みを行っています。
醸造においては、果実味、エレガンス、力強さの完璧な調和を目指しており、赤ワインはオークの小樽による熟成を実施しています。偉大なワインがそのポテンシャルを最大限に発揮するには時間が必要なため、単一区画の土壌や地理的特徴をクライヒガウの主たるブドウ品種で表情豊かに表現したシングル・サイト・ワインであるラーゲンヴァインと、市町村、もしくはその区域を象徴する土壌とブドウ品種を組み合わせたヴィレッジ・ワインであるオルツヴァインについては主に新しいバリックで最長18カ月熟成。クライヒガウの典型的なブドウ品種を用いて造られるエステート・ワインであるグーツヴァインは、より古い樽でより短い期間熟成されます。こうして生み出されるのは、多種多様な土壌の特性が豊かに表現された味わい。芳醇でありながら洗練された、深みとエレガンス溢れるスタイルに仕上がっています。