Frederic Magnien

フレデリック・マニャン

フランス:ブルゴーニュ(モレ・サン・ドニ)

モレ・サン・ドニを拠点とし、5代にわたってワイン造りを行う名門、マニャン家。それまで収穫したブドウを協同組合に卸しブドウ栽培だけを手掛けていたのを、4代目のミッシェル・マニャン氏が、1967年に独立し、ブドウの栽培からワインメイキングまでを一貫して行う、ドメーヌとしてのワイン造りを始めました。
 

 
現在では、ミッシェル氏の息子フレデリック氏が運営を任され、マニャン家5代目当主として、特級畑、一級畑を含む高品質なワインを造り出しています。フレデリック氏は1995年、自分の理想のワインを造るため、 父が造り上げたドメーヌスタイルではなく、敢えてネゴシアンという立場を取って、自身のワインを造り始めました。 フレデリック氏が自分のワインを、しかもネゴシアンワインを造ろうと決心した大きな理由は、ブルゴーニュという特殊な土地において、生産者の趣向や時々のトレンドを追うものではなく、異なるテロワールの個性が自然な形で引き出されているワインを造りたかったから。畑は所有していないものの、自身でブドウ耕作会社を設立、契約した畑でのブドウ栽培を、自身を含めた自前のスタッフで行うようにし、限りなくドメーヌに近いネゴシアンとして独自のスタイルを確立しています。
 
彼は、ワイン造りを始めるやいなや、たちまち「若き新星」「新しいスタイルを確立した異端児」などと称され、近年ワイン評価誌においても高い評価を得ました。2012年版のベタンヌ・ドゥソーブ両氏のワインガイドでは、ネゴシアンとしては最高評価のBDマーク4つを獲得しています。
 

 
ワイン造りは基本的に有機農法や太陰有機法(Bio-Lunaire)に則って行われており、無農薬、有機栽培はもちろん、月の運動によりブドウ畑の作業を規定しています。2008年から以降は完全に有機農法となり、 2012年ヴィンテージからはエコセールの資格も取得しました。ラベルにデザインされた「太陽と月と地球」は「自然の力」を表現しており、「ワイン造りは自然の流れと共にあるべき」というの基本理念を表しています。

Blanc
2017 モレ・サン・ドニ・ブラン レ・ラレ
¥5,990
 
Rouge
2017 フィサン・ルージュ クール・ド ・ヴィオレット
¥4,400  品切中
 

「フレデリック」は全てのブルゴーニュの畑、区画、そして所有者まで知っている。毎日、畑に出て自分の足で条件に合った畑を探し出し、所有者と交渉するということを10年以上繰り返してきたから。 彼等は畑の所有者から委託を受け、栽培チームを派遣し畑の管理を全て自分達で行う新しい形のネ ゴシアン。書類上はネゴシアンだがドメーヌと変わりない仕事をしている。
『栽培責任者はルロワにビオディナミを導入した人で30年以上ルロワの栽培を指揮してきた。より繊細で果実のピュアな部分を重視したワインに進化し ていきたい』
ネゴシアンとして土壌を表現するためには従来の葡萄買いや樽買いでは不可能。栽培から関わり、理想の葡萄を育て、理想のタイミングで収穫することができなければ理想のワインはできないのだ。
 

 
10年以上前から有機栽培を取り入れ、太陰有機法に従った栽培や醸造を行ってきた。最近の「フレデリ ック」はより自然で人為的介入を少なくする方向に向かっている。
『D.R.Cよりルロワが好きだ。1点の汚れもない完璧に整理整頓されたワインよりも、欠点があっても伸びやかで定規で測れないワインが好き』
通常、春に葡萄房が形成され始めるとツルの先端を切り落とし、ツルを伸ばす為に使う養分を葡萄房に使わせるようにする。葡萄の生育を促す栽培法でほぼ全ての造り手が導入している。
『春の摘芯もやめた。養分の分配は葡萄樹が自分でやる。人間がやるべきではないし、ツルを切られることのストレスの方が大きい』
ワイン造りは造り手の趣向やトレンドを極力排除した自然な形でありたい。醸造はグラン・クリュもACブルゴーニュも基本的に変わらない。
 

 
日本に初めて「フレデリック」のワインが紹介されたのは「バレル・セレクション」という手法だった。インポー ターが樽買いし日本国内で流通させた。
『当時の日本の流行でもあったのか日本は新樽100%しか買わなかった。実際は新樽の比率は当 時でも50%以下だった』
日本に最初に紹介された「フレデリック・マニャン」は新樽100%のみだったので彼のワインに今でも樽のイメージを持つ人も多い。 加えて2002年まではノン・フィルターで少し濁っていたし、収穫も今より遅く、今より少し過熟だった。そして、マセラシオンも長かった。 ここ数年で「フレデリック」の評価は一気に高まっている。2000年代前半まではワインに悩みが現れていたように思う。通過点だったのかもしれない。
『ジャー(アンフォラ)での熟成も開始。スペイン製の薄い素焼きの甕での熟成により、水分が少し蒸発し、若干凝縮する』
内側を蜜蝋で焼き固めていないジャーを使用。香成分や水に溶ける成分は何も無いのでバリックのようにタンニンや香をワインに与えない。
『葡萄そのものの個性を出してくれるが、現段階では、単体では複雑味に欠けると判断。バリック熟成のワインとのアッサンブラージュでバランスをとる』
2012年版ベタンヌ・ドゥソーヴではネゴシアンとして最高評価のBDマーク4つを獲得し一流のドメーヌ以上の評価を獲得した。ベタンヌのコメントが印象的で的確だった。
『フレデリック・マニャンは変わった。他のネゴシアンと区別しなくてはいけない。難しい年だった2008年をとても上品に仕上げ、それが本物だということを2009年で証明した。今後も楽しみだ』