古いものを大切にするジュブレの名門
ルネ・ルクレールは1974年に父親からの畑を弟のフィリップと分割した、ジュヴレ・シャンベルタンの名物兄弟ドメーヌです。新樽を多く使い樽の風味を前面に出す力強い酒質の弟フィリップ・ルクレールのワインに比べ、ルネ・ルクレールのワインは、果実味が豊かで芳醇なクラシックな味わい。古き良きブルゴーニュワインを思わせます。
「私は月の満ち欠けと共に仕事をする。月は我々に影響を与える。新月の頃は天気が悪い。月が欠ける頃に樽の中の酵母が下に沈むから、その頃に澱引きを始める。自分は古いスタイルかもしれないけれど、大切なことは良いワインを造ること」というルネ自身の言葉からも古いものを大切にしながらワイン造りを続けていく姿勢が窺える。
80年代半ばまで、一切新樽を使わなかったが、1987年から新樽を10%使用しており、現在では20~30%の使用率となっている。ブドウは古い木製の除梗機で10%程度を除梗、3週間から1ヶ月かけてゆっくりと醗酵させる。その後14~18ヶ月間熟成、その間3回スーティラージュ(滓引き作業)を行うが、コラージュ(清澄作業)はせず、ノン・フィルターで瓶詰めされる。※『樽の中の酵母が沈む月が欠ける時期に、スーティラージュを行う。』
ワインの味わいは、総じて果実味が強く、芳醇で濃密な味わいとなる。特に高樹齢(60年)のブドウ樹から造られる、1級畑「コンブ・オー・モワンヌ」は、ルネ・ルクレールのトップキュヴェとも言われ、しばしば、特級畑を凌駕する出来栄えとなります。早くから楽しめますが、10年ほどの熟成で見事に花開きます。
比較的若い間からバランスのとれた風味で、しかも長熟しても良さを失わないのが、ルネ ルクレール家のワインの特徴です。現在は息子のフランソワがドメーヌを担っています。