2016 クロ・リュネル
Clos Lunelles
ワイナート22号より
1993年のモンブスケの買収以来、ボルドー右岸の新時代を先導してきたジェラール・ペルスは、2001年初頭、コート・ド・カスティヨンに進出した。買収したシャトーはムートン・カデの原料ワインを造っていた、シャトー・ラペロニー。ラペロニー家が売り出したという連絡を友人から受けたジェラールはさっそく畑を見に行き、「素晴らしい!」と即決した。
その理由は「畑を歩くとわかる」とジェラールはいう。「丘の上で、南向き斜面。土壌は粘土だが、小石が多く含まれていて、重たすぎず、圧縮されていない」。確かに立地は最高だ。畑の中にいるより、丘の下の平地を走る道路から見る時に、一番はっきりとする。ローヌ渓谷のシャトー・グリエと同じように、ポコっと半ドーム状に南に向かって突き出しているのだ。
シャトー名をクロ・レ・リュネルと改名し、初ヴィンテージとなる2001年。そのワインは取材時にはまだ瓶詰めされていなかった。瓶詰め予定は2月。ジュラールの造るすべてのワインで最も遅く、あのパワフルなベルビュー・モンドットよりもさらに遅くなるという。つまり、それだけ熟成に時間がかかる、剛直なワインだということ。彼のラインナップの中に置いてみると、繊細優美な方向性にあるパヴィ・デュセスとは対極的の位置。1年前にあれほど驚かされたベルビュー・モンドットでさえ上品に感じさせるほど、筋骨隆々としている。
普通、コート・ド・カスティヨンのワインは低価格でしか売れないため、それにあわせた栽培・醸造をする。だから今まで希薄なワインしかなかった。だからこのアペラシオンは評価されなかった。しかし、コストを考えず、パヴィ等と同じ最高レベルの栽培・醸造をしたクロ・リュネルは、コート・ド・カスティヨンとしては、などという条件なしに偉大なワインだ。アペラシオンの本当の実力をはじめて教えてもらった。
ヴィンテージ | 2016 |
原産国 | フランス |
産地 | ボルドー |
アペラシオン | コート・ド・カスティヨン |
生産者 | クロ・リュネル |
色 | 赤 |
容量 | 750ml |
ぶどう品種 | メルロー、カベルネ・フラン |
味わい | フルボディ |
ワインアドヴォケイト | 93 |
ワインスペクテーター | 92 |