Chateau Petrus
シャトー・ペトリュス
ポムロールの王、ポムロールの象徴、神話のワイン
ロバート・パーカーJr.ボルドー第4版より
ポムロールで最も名高いワインであるペトリュスは、この80年間でボルドーで最も有名で高価な赤ワインとなった。ポムロールの丘の中央にある一握りの粘土質の土地にある、このごく小さな11.4haのブドウ畑から、この世で最も丁重に、注意深く扱われるワインが生まれるのである。経営者クリスティアン・ムエックス(彼の兄のジャン=フランソワが実際の所有者である)自らが選別を行うが、その結果、たいていのペトリュスのヴィンテージは100%純粋なメルロということになる。
ペトリュスには途方もない数の伝説的なヴィンテージがあり、それがこのワインに成層圏まで達するような値がつく理由であることは間違いない。2000年、1998年、1990年、1989年、1975年、1971年、1970年、1964年、1961年、1950年、1948年、1947年、1945年、1929年、1921年は、私が今までに飲んだワインの中で最も記念碑的部類に入る。ペトリュスはワイン評論界の大半で神格化されるに至っているが、特に1976年以降のこのシャトーの実績を考慮すると、こう問わずにはいられない。「ペトリュスは、今でも昔と変わらない偉大なワインなのだろうか?」。1998年、1986年、1983年、1981年、1970年、1978年、1976年のようなヴィンテージには、ペトリュスがスランプに陥っていたことは間違いない。しかし、1989年のペトリュスは絶好調で、連続して輝かしいワインをつくり出している。
~一般的な評価~
ペトリュスは、ポムロールの丘の卓越した立地の畑から恩恵を受けている。世界で最も有名な赤ワインの1つであり、そのことが、特にオークションにおいて非常に高価な価格で売られていることを説明できる。十数年間の間(ムラがあった1970年代及び1980年代でさえ)、ペトリュスに太刀打ちできるポムロールのワインはなかった。しかし、最近は、大幅によくなった多くのポムロール産ワインとの厳しい競争に直面しなければならなくなっている。名声と投機的な価値の点では、ペトリュスはいまだにポムロールの王である。しかし、純然たる品質の点では、ラフルール、レヴァンジル、クロ・レグリーズ、ル・パンやそのほかのいくつかのシャトーはペトリュスに匹敵する。時にはペトリュスを凌駕するワインをつくっている。しかしながら、ペトリュスは最上のポムロールが感じさせる以上のものを象徴している。ペトリュスはワインというよりも神話の象徴なのだ。
平均年間生産量:2万5000~3万本
畑 面積:11.4ha、平均樹齢:35年、植樹密度:6500本/ha、平均収量:36hl/ha
育て方:発酵とマセレーションは温度管理されたコンクリートタンクで20~24日間。熟成はオークの新樽100%で20ヶ月。清澄するが、濾過はしない。
ブドウ品種:メルロー95%、カベルネ・フラン5%
所有者:SCシャトー・ペトリュス