ドメーヌ・リシューは、ロワール地方アンジュから南西に約 15km 程行ったモゼ・シュ ール・ロエ村 (Mozé sur Louet) に位置し、3世代に亘る家族経営のドメーヌである。 ドメーヌ・リシューの先祖 モーリス・ジョワイヨ (Maurice Joyau) がこの地に定住したのは、今から遡る事約400年以上前の1550年頃。
かつて、ロワール・アンジュ―地方は、フランス王室の中心として繁栄した栄華を極めた場所である。リシュー家は、ワイン造りと同時にフランス王アンリ2世 (King Henry II) の主治医として仕えていた由緒あるアンジュ―の名家。また、1709年には、マリー・アントワネットの夫でもあり、フランスの一時代と伴に生涯を終えたフランス王、ルイ16世( King Louis XIV )へもワインを献上した歴史がある。
1992年以降ダミアン (Damien)・ディディエ (Didier) の二人の兄弟がドメーヌを引き継いでいる。ドメーヌ・リシューは、名門の歴史を途絶えさせる事なく、王室に仕えた醸造家として今もその長い歴史を持つテロワールと葡萄一つ一つの個性を活かしたワイン造りに励んでいる。
所有畑は30ha。樹齢90年の古木を持つ。シスト状の黒い土壌に由来する「アンジュ・ノワール」と呼ばれる、 スピライト(緑色のシスト)やフタナイトといった火山岩土壌に恵まれた地域にある。
特にシストは、ミネラル分を多く含み、ワインに力強い芯を与える一方、日中の熱を吸収し、夜間に熱を放出して、 土壌を温める為、葡萄の成熟を促す。それら複雑なシスト土壌や火山岩土壌の特徴あるテロワールが、高い酸度 を保ちながらも成熟した果実味溢れるミネラル豊富な葡萄を生み出す。
2000年以降、オーガニック栽培を始め、除草剤は使わず、鋤入れの励行、カヴァークロップを採用するなど極めて自然なワイン造りを心がけてきた。2013年ヴィンテージから、ビオディナミ認証を正式取得。
除草剤を一切使用せず、鋤起こしをしっかり行なう事で、柔らかな土壌となり、根が地中深くまで行き渡り、ミネラル豊富な栄養分を葡萄が取り込む。また、この地域は、大西洋気候に位置、温暖な冬と夏は日照に恵まれ、フェノール分まで、しっかり葡萄が熟成。成熟度の高い酸と糖度の高いレベルでのバランスに秀でた葡萄を収穫できる。一方で、ロワール川河口付近の湿度の高い気候により、葡萄にカビが発生する可能性がある。それにも関わらず、リシューは、防カビ剤も一切使用せず、厳しい選定や、葡萄一房の葉の量を調節し、風通しを良くする事で、カビの発生を防ぐ人の手による丁寧な管理を行っている。
収量は、品質の高い葡萄を得る為、10〜45hl/haに抑えている。また、収穫の際も、手摘みで少量の小箱を使用。葡萄が潰れないように丁寧にセラーへと運ぶ。
醸造においても豊富なミネラルとピュアなワインを実現するため、ワインに繊細な酸が残るような造りを心掛けている。例えば、シュール・リーで寝かせる際、バトナージュを極力減らし、酸を最大限保つようにしている。また、SO2もごく少量の1.25mg/lと、極めて純度の高いワイン造りを体現しており、熟成力をもたらすきれいな酸が残る究極のピュアリティワインを実現している。
繊細かつエレガント、複雑なアロマが印象的。フレッシュ感溢れる酸とミネラルが心地よく余韻に広がる。 グラスに注がれたワインで、飲み手がアンジューの地に誘われるようなワイン造りを目指している。
Blanc
Rouge
アンジュー・シュヴィネ・ブラン・セック
Anjou Chauvigne Blanc Sec
[白:辛口]
ぶどう品種:シュナン・ブラン
シストと火山性土壌によるミネラルたっぷりのフルーティでフレッシュなワイン。 18ヶ月の醸造期間。シュールリー熟成。全体的に、グレーがかったやや濃いレモンイエロー。 熟れた洋ナシ、花梨の豊かな果実の香りに加えて、ボリューム感のあるアタック。充実した果実味。 心地よい酸味、引き締まったミネラル感が余韻へと長く続く。
アンジュー・カベルネ・レ・キャトル・シュマン・ルージュ
Anjou Cabernet Les 4 Chemins Rouge
[赤:ミディアムボディ]
ぶどう品種:カベルネ・フラン
ステンレスタンクで8か月熟成。伝統的なアセラシオンを実施。はっきりと紫を帯びた中程度のルビー色。よく熟したブルベリー、カシスに加えて、スミレのようなフローラルな香り。若々しい第一印象、ジューシーな果実味に、酸味とタンニンの爽やかな味わいを楽しめるワイン。レ・メイユール・ヴァン・ド・フランス2017にて、“15€以下のフランス最上の赤ワイン”に選ばれた実力。