Chateau Pichon-Longueville Baron
シャトー・ピション・ロングヴィル・バロン
完全なる復興を果たした名門シャトー
1980年代後半所有者が代わり、ランシュ バージュのジャン・ミッシェル・カーズ氏が栽培、醸造を監督するようになり、品質が向上しました。ラトゥールの畑に隣接していて、砂利質土壌で真南に面する素晴らしい立地。道を挟んだ姉妹格のロングヴィル・ラランドのエレガンスに対し、バロンは力強さで人気を高めています。
ロバート・パーカーJr.ボルドー第3版より
高雅なたたずまいのシャトーが、ピション・ロングヴィル・コンテス・ドゥ・ラランドとラトゥールに向かい合って立っている。1980年代前半にワインの品質を穏やかに盛り返したこのシャトーは、1980年代終わりに持ち主のブテイエ家からAXAという保険のコングロマリットに売却された。この会社がシャトーとワインづくりを監督するためにシャトー・ランシュ=バージュのジャン=ミシェル・カーズを雇ったのは、立派なことだ。カーズの作風、遅い摘み取りや厳しい選別、セカンド・ワインの導入、それに新樽の割合を高めることなどによって、品質は劇的に向上したのだ。その結果、ピション・ロングウィル(よく「ピション・バロン」と呼ばれる)は今、名門の第二級シャトーと呼ぶにふさわしくなった。
ブドウ畑は砂利が多い土地の上、真南に向いた申し分ない土地だ。その大部分がシャトー・ラトゥールの畑に隣接している。1960年代、1970年代のピション・バロンのワインの多くがぱっとしなかったのは、無造作なブドウ栽培の方法と、不十分なセラーの管理の両方が原因だったのだろうと思われる。私は焼けつく暑さのある7月、このセラーのそばを通りすぎたときのことを覚えているが、瓶詰めされえたばかりのヴィンテージが外に積み上げられ、強い日光にさらされていたのだ。
カーズのチームのもとでは、そんな無謀な真似が許されるわけがない。美辞麗句や世評の結果はさておき、ポイヤックが再び2つの偉大なピションを得たという歴然たる証拠は、ピション・バロンで1986年からつくられたワインである。このシャトーが1990年代のスーパースターのひとつだということは、遠からず確かめられるだろう。偉大なワインは1988年、1989年、1990年にもこのシャトーから出ている。これらは、ジャン=ミシェル・カーズがピション・バロンのために考えたスタイルの体現であり、強力でくっきりした、非常に凝縮したワインとなった。
(ジャン=ミシェル・カーズは1997年ヴィンテージまで)
平均年間生産量:24.000ケース
畑 面積:68ha、平均樹齢:35年、密植度:9000本/ha、平均産出量(過去5年間):45hl/ha
育て方:ブドウは手摘みで、完全に除梗。発酵は温度調節されたステンレス鋼の発酵槽で通常15~17日間続く(例外は1996年で20日かかった)。マロラクティック発酵は発酵槽の中で起こるが、収量のうちごくわずかはオーク樽に入れられる。ワインは12月に樽に移される。新樽は70%。12~15ヵ月熟成(瓶詰めは春)。清澄処理も濾過処理もされる。樽から樽へと3ヵ月ごとに澱引き。
ブレンド比率:カベルネ・ソーヴィニョン70%、メルロー25%、カベルネ・フラン5%