オーナーはシャトー・ディケムを所有していたリュル・サリュール家です。品質の基準は厳しく、満足するブドウを収穫ができなかった年はワインが造られないこともあります。熟成期間は3年。生産本数は2万本。レモンコンフィ、マーマレード、はちみつなどの複雑な香り。酸によって見事にバランスの取れた上品な甘さが口の中に広がります。余韻には塩味と心地良い苦みが楽しめます。
ロバート・パーカーJr.ボルドー第4版より
リュル・サリューズ家がシャトー・ド・ファるぐを所有するようになったのは1472年、有名なシャトー・ディケムを手に入れる300年前のことである。ド ・ファルグは格付けされたことは一度もないが、ここから生まれるワインは光り輝いている。今もリュル・サリューズ家が所有し、ワイン醸造にかける実際の手間はディケムに対するのと同じである。ヴィンテージによってはソーテルヌ地方で生産されえうワインの中で2番目によい場合が多く、ブラインド・テイスティングでは、専門家を含めた多くのテイスターたちが、これをディケムのものであると判断しがちだ。公明正大に言って、このワインにはディケムのような熟成の可能性はないが、若いうちは驚くほど似ている。
興味深いことに、ファルグのブドウ畑はディケムの東のよい位置にあり、収穫は平均してディケムの10日後に行われる。それに収量はディケムより少なく、ディケムのブドウの木1本あたりの産出量がワイングラス1杯分にしかならないとすれば、ド ・ファルグのそれはワイングラス3分の2杯分にしかならないとも言われている。
ド ・ファルグが気味が悪いほどディケムに似ていることと、ディケムのボトル1本の値段のおよそ3分の1で買えることから、これは明らかにお値打ち品である。ところが残念ながら、ド ・ファルグはごくわずかしか生産されておらず、多くのワイン愛好家がこのワインを味わう機会も当然少ない(ちなみに、ド ・ファルグは冗談に「ディケム・ジュニア」と呼ばれることもある)。
~一般的な評価~
生産量が少ないので、希少であることは間違いない。また、ディケムに似ていてディケムより格段に安価なワインを探している抜け目のない消費者が、万が一小売店の棚で見つけたらそのほとんどを買い占めるようなワインである。
平均年間生産量:1万5000本
畑 面積:15.0ha、ブドウ品種:セミヨン80%、ソーヴィニョン・ブラン20%、平均樹齢:35年、密植度:6600本、平均産出量:12hl/ha
育て方:発酵と36ヶ月間の熟成はオークの新樽で行う。清澄はするが、濾過はしない。
所有者:アレクサンドル・ド ・リュル・サリューズ