Chateau Canon
シャトー・カノン
シャネルが所有者になり注目のシャトー
ロバート・パーカーJr.ボルドー第4版より
コート・サン=テミリオンにあるシャトーの1つであるカノンは、サン=テミリオンの町の南西側の斜面の、ベレールやマグドレーヌ、クロ・フルテ、ボーセジュールといった第一特別級の畑に囲まれた、すばらしい場所にある。一部が丘陵斜面に、またもう一部が丘の上に位置する畑は、石灰岩を基盤とし、その上に石灰質と粘土質が混じり合った土壌から砂礫質の土壌まで、いくつかの異なる性質の土壌からなる。
1919年以来フルニエ一族が所有してきたカノンは、1990年代半ばにシャネル社に売却された。シャトーの名は、18世紀の所有者であるジャック・カノンに由来している。非常に伝統的な、オークの発酵槽での長くて高温での発酵という製法は、このシャトーが、しなやかなボルドー・ワインを飲みたいという消費者にはほとんど注意を払っていないことを示唆している。タニックで、力強いワインであり、非常に長持ちするようにつくられている。顕著なオークの風味が特徴で、より軽いヴィンデージでは、果実味をぬぐい去ってしまうほどである。私のカノンに対する唯一の批判は、過度に、贅沢に新樽を使う(各ヴィンテージごとに最低60%の割合でつかわれている)点である。1989年、1985年、1982年といったヴィンテージのワインを私は非常に敬愛している。1980年代には、エリック・フルニエや彼の優れたメートル・ド・シェ(ワイン蔵の責任者)であるポール・カズノーヴの指導ものとに、カノンは、サン=テミリオンの最高級であるシュヴァル・ブランやオーゾンヌにしばしば匹敵し、時にはそれらをしのぐほどの質の高さを達成した。しかし、秀逸であった1990年のあとに続いた、みじめな出来栄えにより、カノンは自信に欠けるようになった。それは、老朽化したセラーの汚濁したより、さらに悪化した。このことが原因で、1992年から1996年の間につくられたワインの多くが、過度にカビ臭い香りと味わいになってしまったのである。新しい所有者は直ちに、この古いセラーを刷新し、そのかいあって不快な香りの原因は排除された。
最良の状態のカノンは、すばらしい芳醇さがあり、深みがあり、凝縮感があり、筋肉質で、フルボディで、熟成すると果実味が豊かであり、西洋杉の香りを持つとびきり上等なワインとなることがしばしばである。このワインがさほど知られていないことは不可解である。というのも、カノンが1980年代にはサン=テミリオンの最高級ワインの3つか4つの中に含まれていたことは確かだからである。まだ名声は獲得してはいないが、新しい所有者は大きな野心を持っており、将来有望である。
~一般的な評価~
このシャトーは1990年代初めに問題(すなわち、カビ臭いアロマと風味に汚染されていたワインである)を克服しなければならなかった。しかし、私は、新しい所有者による投資や運営チームによってなされた相当な仕事を考えれば、復活するだろうと、今でも確信している。しかし最近のヴィンテージからは、とうていひらめきは感じられない。
平均年間生産量:3万本
畑 面積:生産中なのは14.5ha(合計21.5ha)、平均樹齢:35年、植樹密度:5500本/haと6500本/ha、平均収量:30~35hl/ha
育て方:長期間の発酵と18~23日間のマセレーションは温度管理されたオークの槽で行う。熟成は、新樽60%で18~20ヶ月。澱引きは3ヶ月ごと。清澄はするが濾過はしない。
ブドウ品種:メルロー75%、カベルネ・フラン25%
所有者:SCシャトー・カノン