女王陛下とボンドが愛するシャンパーニュ
創業1829年よりピノ・ノワールの聖地、アイ村で家族経営を続けるグランメゾン。職人の手による伝統製法で支えられたクラフトマンシップに裏打ちされたエレガントで質の高いワイン造りには定評があります。創業以来、今でも木樽発酵を行っている数少ないメゾンのひとつ。一貫したスタイルと安定した品質により、ミシュラン星付きレストランのシェフやソムリエなど、食のプロフェッショナルに高い評価を受け、ワイン愛好家なら知らない人はいないと言われるほどの熱い支持を得ています。
1884年には当時のヴィクトリア女王より、英国王室への納入を許される「Royal Warrant」の授与を受けます。以来、130年以上に渡り、メゾンはこの栄誉を守り続け、今日も英国王室への納入を続けています。また、メゾンを語る上で欠かせない人物がマダム・エリザベス・リリー・ボランジェ。シャンパーニュ地方を代表する女傑のひとりとして、歴史的にも語り継がれる彼女の功績はメゾンにとって大切なレガシーです。33代目当主、夫ジャック・ボランジェの死後、世界の混乱期にあたる1941年~71年の30年間、メゾンを第二次世界大戦の騒乱より守り抜き、戦後はシャンパーニュの普及に尽力します。1967年にはメゾンの哲学が存分に込められた不朽の名作、スーパープレステージシャンパーニュの「R.D.」を世に送り出し、現在もなおマダム・リリーの誠実な思いは受け継がれています。
映画007シリーズとの紳士協定による信頼関係が始まったのは、1973年、シリーズ第8 作目「死ぬのは奴らだ」より。以後、全15作品に渡り、「ジェームズ・ボンドが愛飲するシャンパーニュ」としての地位を確立しています。
<栽培>
世界遺産としても名高いシャンパーニュ地方に179haもの自社畑を保有し、生産に必要なぶどうの多くを伝統的生産地として知られるマルヌ県に点在するグラン・クリュとプルミエ・クリュを主とする自社畑から供給しています。上質なワイン造りへの情熱と高い専門性を次世代につなぐ、サステナブルな環境づくりにも注力しています。2012年、フランス農業省・食糧省が定める環境価値重視認定 HVE (High Environmental Value) を、シャンパーニュメゾンとしてフランス国内初の認証を受けます。さらに2014年、Sustainable Viticulture in Champagne「シャンパーニュの持続可能なぶどう栽培」の認証を受けます。この栄誉もフランス国内初として知られることとなり、メゾンの環境保護への取り組みが先進的であることを示す事案となりました。
<醸造>
黒ブドウ、ピノ・ノワールがアッサンブラージュのベースです。どのキュヴェにも60%以上の割合で主体となり、深みと、複雑性、力強さをもたらします。樫樽を用いて発酵を促すのも特筆すべき点です。ボランジェではリザーヴワインをクリュ別、ヴィンテージ別にマグナムボトルで5~12年寝かせて熟成させ、アッサンブラージュの際に、5~10%の割合で最新ヴィンテージとその前の年の収穫から造られたワインに加えられます。
「贅沢な時間」をかけて長期熟成を行うのもメゾンならではです。ノンヴィンテージのキュヴェは3年、ヴィンテージは最低5 年、「R.D.」は8年かそれ以上の手間をかけて、熟成を促します。
辛口の味わいが特徴的なボランジェ。ドザージュは少量のみに控えます。デゴルジュマン後、3ヶ月間休ませ飲み頃になったワインだけを出荷します。