2019 17K・ピノ・ノワール
バス・フィリップ・ワインズ


BIN 17K Pinot Noir

Bass Phillip Wines

2018年産までのクラウン・プリンス、オールド・セラーという名の商品に代わり今後新たなエントリーレベルとなるワイン。エステート、プレミアム、リザーヴのピノ・ノワールと同じ様に土地の個性を引き出す事を念頭に造られ、チェリー、ラズベリー、梅などの完熟果実の風味と滑らかなタンニンを持つ。新樽は用いない。以前の限定キュヴェ、BIN 17K(単一畑産、超密植)とは異なり、複数の自社畑のブレンド。

ヴィンテージ 2019
原産国 オーストラリア
産地 ヴィクトリア
地域 ギップスランド
アペラシオン ギップスランド
生産者 バス・フィリップ・ワインズ
容量 750ml
ぶどう品種 ピノ・ノワール100%
味わい ミディアムボディ
アルコール度数 13.8%
輸入元 豊通食料

採算度外視の一切妥協なき造り、「南半球のDRC」と賞賛されるオーストラリア産ピノ・ノワールの頂点

1979年、ヴィクトリア州の南ギップスランド、バス海峡から20km程離れたレオンガサの牧草地にてエンジニア出身のフィリップ・ジョーンズ氏により設立。ワイナリー名は18世紀後半から19世紀初頭にかけてオーストラリア開拓の歴史に名を遺す人物、ジョージ・バス氏とアーサー・フィリップ氏にちなんで名付けられている。今日ではピノ・ノワールのスペシャリストとして知られるが、当初はボルドーのデュクリュ・ボーカイユ風なワインを目指してカベルネ・ソーヴィニヨンを主に植樹するも寒すぎて葡萄が完熟せずに断念。やがてアンリ・ジャイエを筆頭としたブルゴーニュワインに魅せられてピノ・ノワールの可能性を見出す。日夜の寒暖差を伴う冷涼地で降雨量が多く灌漑を必要としない地で土壌は火山灰が沈積したローム土壌で有機物、ミネラルを豊富に含み、水捌けに優れている。ブルゴーニュに習い1ヘクタールあたり9,000樹という高密度で植えており、樹齢が40年近く高まった今では僅か16-22hl/haという低収量まで抑えている。収量をここまで制限する事により土地の個性を最大限に引き出すという考えのもと、1993年よりビオロジック、2002年からはビオディナミへ転換(認証無し)。現在14haを所有。
 
醸造においては極力シンプルに、人的関与を避けて自然の摂理に沿った製法にて大地のエネルギーをボトルに封じ込めている。淡めな色調からは想像できない位香り高く、凝縮した風味とまるでヴェルヴェットの様な質感を持つ。特に1979年創立時のオリジナルの3.5haの自社畑「エステート・ヴィンヤード」から造られるエステート、プレミアム、リザーヴの3種ピノ・ノワールは1991年の発売以来、オーストラリア産ピノ・ノワールの最高峰として高い評価を受け、その少ない生産量からカルト的な人気を誇る。評論家からは「南半球のDRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)」と最大限の賛辞を呈している。ジェームス・ハリデイ、ワイン・コンパニオン5つ星ワイナリー。
 

 

ブルゴーニュのスター生産者、ジャン・マリー・フ―リエとの縁

御年74歳を迎えたフィリップ・ジョーンズ氏は長年の功績から既にオーストラリアワイン界のレジェンドとしての地位を築いていたが、一家にワイナリーの跡を継ぐ後継者がおらず、リタイア後にもバス・フィリップの名を汚さない相応しい売却先を水面下で探していた。そこで白羽の矢が立ったのがブルゴーニュのドメーヌ・フ―リエの当主、ジャン・マリー・フ―リエ氏。ジャン・マリーの家族がオーストラリア在住という事もあって以前より知り合いであり、実際にバス・フィリップでコンサルタントとして栽培醸造に関わり交流があった。古木のマサル・セレクション重視、自然とテロワールを尊重したナチュラルなワイン造りの哲学、アンリ・ジャイエからの影響などの共通点もあり、意気投合し2020年4月に投資家と共に買収を合意。今後はジャン・マリー・フ―リエ氏がフライング・ワインメーカーとして栽培醸造の責任者として指揮を執り、ニューワールドとオールドワールドのトップワイナリー同士の融合により今後どの様なワインが生み出されるか、今から楽しみである。